世界七不思議と言っても色々ある。そもそも七不思議なのだから一つじゃなくて七つあるのは当然じゃないかと思う人もいるかもしれないがそういう意味ではない。中世に選ばれた七不思議、現代に選ばれた七不思議など、複数の世界の七不思議が存在しているということだ。
元々の世界の七不思議とはギリシャの数学者フィロンが選んだ眺めるべき七つの建造物である。日本語で不思議という言葉は言葉で言い表すこともできないとか想像することもできないというようなことを意味するが、元々の世界七不思議の不思議とはそういう意味ではなく、注目すべき建造物のことである。
普通はギザの大ピラミッドを最初に取り上げることが多いと思うが、ここではあえてバビロンの空中庭園を取り上げたい。
バビロニア南部の総督であったナボポラッサルはアッシリアに支配されていたバビロニアを開放し、新バビロニア帝国を建国した。アッシリアの領域はメディア、リディア、カルディア(新バビロニア)、エジプトに分裂する。メディアは強国であるが、ナボポラッサルの息子ネブカドネザル2世とメディア国王の娘アミュティスが結婚し、両国は友好関係を結ぶ。ネブカドネザル2世は戦争に勝利を重ね、広大な領域を支配した。
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バビロンの空中庭園を建設したとされるネブカドネザル2世
ネブカドネザル2世の妃アミュティスの出身地であるメディアは山岳地帯であり、緑豊かな土地である。砂漠地帯に嫁いできたアミュティスは故郷の風景を懐かしがっていたという。その妃を慰めるためにネブカドネザル2世が建設したのがバビロンの空中庭園である。バビロンはイラクのバグダット南約90kmに存在した古代都市である。
(ファン・ヘームスケルク氏による/ Public domain)
バビロンの空中庭園想像図。ネブカドネザル2世はこのように美しい庭園を妃アミュティスのために建設した。後方にそびえ立つのはバベルの塔である。
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