『ローマ帝国衰亡史』の著者エドワード・ギボンが「人類が最も幸福であった時代」と評したのが五賢帝時代である。時代としては1世紀末~2世紀後期でエドワード・ギボンはこの時代をパクス・ロマーナ(ローマの平和)と呼んでいる。
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トラヤヌス帝の時代にローマ帝国の版図は最大となった
マルクス・アウレリウス・アントニウスを除き、五賢帝は実子ではなく養子を後継者にしている。
五賢帝を順番に並べると以下のとおり。(皇帝名は一般的な表記を用いている)
・ネルヴァ
・トラヤヌス
・ハドリアヌス
・アントニヌス・ピウス
・マルクス・アウレリウス・アントニウス
段々と名前が長い皇帝になっている。もし順番が分からなくなったときは名前が短い順に並べてみれば良い。
各五賢帝の特徴を簡単にまとめると以下のとおり。
●ネルヴァ
・五賢帝最初の皇帝。
●トラヤヌス
・ローマの領土が最大の面積(最大の版図)になったときの皇帝
●ハドリアヌス
・ハドリアヌスの時にローマ帝国が攻勢から守勢に転じる。各地で国境防衛の強化を図る。イングランド北部に長城を築いたことでも有名。
●アントニヌス・ピウス
・軍事的キャリアがない。イングランドにハドリアヌスが築いた長城よりもさらに北に防壁を作る。
●マルクス・アウレリウス・アントニウス
・五賢帝最後の皇帝。ストア哲学にも通じ、哲人皇帝とも呼ばれる。『自省録』という哲学書を記す。
実子のコンモドゥスを後継者にするが、暴政を行ったコンモドゥスは若くして暗殺される。
五賢帝の最後の皇帝、マルクス・アウレリウス・アントニウス帝の胸像
マルクス・アウレリウス・アントニウスの時代が舞台になっている映画にグラディエーターがある。
五賢帝について知っておくとこの映画が一層楽しめる。ただし、映画の内容と史実は大幅に異なるのであくまでもフィクションとして楽しんで欲しい。