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読書水先案内 吉川元忠『マネー敗戦』

20年以上前の平成10年(1998年)に出版された本書だが、その内容は今でも全く色あせていない。


80年代には対米貿易黒字が大変大きく、日本は非常に大きな富を手にする。しかし、その代金はドル建てであったし、日本が米国に持つ資産もほとんどすべてがドル建てであった。米国の超円高ドル安戦略により急激な円高が進み、多くの国富が損なわれた。

マネー敗戦 (文春新書)

 

 

バブル崩壊後の九〇年代に入ると、円高によるダメージは一気に顕在化した。対米資産の大幅な減価に加え、円高によって生じた生産コストの歴然たる格差がモノ作り部門を直撃するのである。これに対して、アメリカは、円高によって失うものは何もなかった。為替市場を味方に、辛くもドル暴落の危機をすり抜けて、未曾有とも言える長期の景気拡大を続けることになる。ブレストウィッツ流に言えば、「日米再逆転」である。

  

円の過大評価は、次章で見るように、日本経済の明日がかかるハイテク関連産業の海外展開を過度に進め、これら産業部門の空洞化を招く


今もなおハイテク関連産業の空洞化は進んでいる。これは超円高により、日本でモノを作っても利益を上げることが極めて困難な状況によるところが大きい。


全く本書の指摘どおりの状況である。

 

以下は2022年10月18日に追記

2022年10月18日現在、1ドルはおよそ148円~149円あたりで取引されている。これは1990年以来、約32年ぶりの水準だ。これは大変な事態だと思うかもしれない。たしかに輸入品の価格は上がるし、海外旅行には行きにくくなるかもしれない。しかし、長い間円が過大に評価され、日本の国富が大幅に損なわれたり産業の空洞化が進んだりしたことからしたら、ある程度までの円安は良いことだと思う。しかも現在進行中の円安は特に円の信用が損なわれたことによるものではない。国債残高の増加によって円の信用が落ちたために円安が進んでいるというストーリーに持ち込みたい人もいるだろうが、そうだとは思えない。単に米国のインフレを食い止めるための金利上昇の影響でドルが買われているにすぎず、その状態が落ち着けば円もほぼ元の水準に戻るだろう。その証拠にドルはユーロに対してもかなりの上昇を見せている。

 

マネー敗戦 (文春新書)

マネー敗戦 (文春新書)

  • 作者:吉川 元忠
  • 発売日: 1998/10/22
  • メディア: 新書
 

  おすすめ度★★★★☆

 2012年頃読了

 

 

円がドルに呑み込まれる日

円がドルに呑み込まれる日

  • 作者:吉川 元忠
  • 発売日: 2005/02/20
  • メディア: 単行本
 
アメリカの産業戦略

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マネー敗戦の政治経済学

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ドル暴落後の日本 新・マネー敗戦 (文春新書)

ドル暴落後の日本 新・マネー敗戦 (文春新書)

  • 作者:岩本 沙弓
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: 新書
 

 

 

www.chatesen.info

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