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ここまで書いて大丈夫なのだろうか。佐藤優『インテリジェンス人間論』(新潮社)

 

中島孝志『インテリジェンス読書術 年3000冊読破する私の方法』 (講談社+α新書)で紹介されていたので本書を読むことになった。外務省のラスプーチンと呼ばれたこともある著者は対ロシア外交の最前線で北方領土返還交渉にも携わった人物である。
 本書には橋本龍太郎首相、エリツィン大統領、プーチン大統領、森喜朗首相、小渕恵三首相など(肩書は当時)、1990年代から2000年代において大きな影響を及ぼしている人物に関するインテリジェンスの話題がこれでもかというほど詰め込まれている。さらに田中真紀子氏の稚拙な外交手腕、北方領土問題を始めとする重要な問題が山積する外交という場に田中真紀子氏を投じたことにより多くの混乱が生じてしまったことなどにも筆が及ぶ。こんなことを書いても大丈夫なのだろうかとこちらが心配してしまう内容は多数。

インテリジェンス人間論(新潮文庫)

インテリジェンス人間論(新潮文庫)

 

 本書の読みどころはいくつもあるが、中でも私が非常に興味深く思ったのは、なんといっても「第十三話 有末精三のサンドウィッチ」である。これは先述の『インテリジェンス読書術 年3000冊読破する私の方法』 で紹介されている部分である。本章は以下の書き出しで始まる。

 

太平洋戦争で日本は情報戦に敗北したと誰もが思い込んでいる。陸軍参謀本部でも作戦担当(第一部)は秀才揃ぞろいだが、情報担当(第二部)は見劣りするというのがいつのまにか定説になってしまった。

実際には日本の情報戦の能力も相当なものであった。マッカーサー元帥来日直前、GHQの先遣隊を受け入れる責任者として有末精三陸軍参謀本部第二部長が任命された。この有末精三部長による手記が紹介されるが、この内容がなかなかすごい。
本書で紹介されている有末部長は「お口に合うかどうかわからぬが、サンドウイッチを百五十人分準備しており、日本のビールも準備しておいたから」と先遣隊にサンドウィッチとビールを大量に振舞った。先遣隊が快適に過ごせるように水洗トイレの整備も行った。それはなぜなのか。本章だけでも本書を読む価値があるというものだ。

なお、有末精三陸軍参謀本部第二部長の手記は『終戦秘史 有末機関長の手記』芙蓉書房として出版されている。現在は絶版になっているのかamazonではかなりの値段で販売されている。

有末機関長の手記―終戦秘史

有末機関長の手記―終戦秘史