アルカイック時代、または古代ギリシャのアルカイック期は紀元前800年から第二次ペルシャ戦争の紀元前480年まで続いた時代。この時代はギリシャ暗黒時代の後に続き、古典期の前である。アルカイック期は、ギリシャ人が地中海全域にわたって定住し、西はマルセイユから東はトラペズス（現在のトラブゾン）まで広がる。この時代の終わりには、彼らは地中海全域を結ぶ貿易ネットワークを構築した。
この時代は、ギリシャ人口の大幅な増加と、8世紀末にはギリシャ世界を一変させる重要な変化が特徴的である。アルカイック期はギリシャ世界における二つの革命によって区切られている。一つは「構造的革命」で、独特のギリシャ市民国家であるポリスが成立する。もう一つは、古典期の知的革命である。
この時代には、ギリシャの政治、経済、国際関係、戦争、文化において多くの発展が見られる。特に、ギリシャ文字の発展、初期のギリシャ文学、記念碑的な彫刻、そしてギリシャ軍の中核となる重装歩兵などが挙げられる。
アテナイでは、ソロンの下で民主主義の最初の制度が実施され、アルカイック期の終わりにクレイステネスの改革によって古典期のアテナイ民主主義が導入される。スパルタでは、リュクルゴスの改革に帰せられる多くの制度がアルカイック期に導入され、メッセニア地方がスパルタの支配下に置かれ、ヘロット制度が導入され、ペロポネソス同盟が設立され、スパルタをギリシャの主要な勢力にする。
アルカイック期は、古代ギリシャの歴史上、長い間重要性が低いと考えられていたが、最近ではその独自の成果のために研究されている。政治的には、ポリス（市民国家）の発展が挙げられる。そして多くの都市がいわゆる「僭主」の支配下に入る。また、法律と共同決定のシステムの発展が見られる。
この時代の都市化プロセスは「シノイキスモス」と呼ばれ、多くの小さな集落が一つの都市中心に統合される。これは、紀元前8世紀にギリシャの多くの地域で行われる。例えば、アテナイとアルゴスは、その世紀の終わりに単一の集落に統合し始める。一部の集落では、この物理的統合は防御壁の建設によって示される。例えば、スミルナは紀元前8世紀半ばに、コリントスは紀元前7世紀半ばに防御壁を建設する。
美術史においてもこの時代は極めて重要である。アルカイック期の古代ギリシャの彫刻に見られる特徴的な表現アルカイックスマイル。その微笑みは世界中の多くの文化に影響を与えてきた。日本においても、このアルカイックスマイルは様々な形で伝播し、文化や芸術に取り入れられてきた。
奈良時代の仏像に見られる微笑みは、アルカイックスマイルと類似していると指摘されることがある。奈良の東大寺にある大仏や法隆寺の仏像群など、穏やかで優しい微笑を浮かべた仏像は、内面の平和や悟りを表現するためにこのような表情が用いられている。これらの仏像は、死後の安らぎや神聖さを象徴するため、または信者に安心感を与えるために、微笑みを浮かべていることが多い。
古代ギリシャからの影響は定かではないが、能面や狂言面にも、アルカイックスマイルを思わせる表現が見られる。これらの面は、演じる役柄の感情や性格を象徴的に表現するために、様々な表情が用いられているが、中には微笑みを浮かべた穏やかな面も多く存在する。これらの面の表情は、観る者に安らぎや神秘的な美しさを感じさせることがあり、アルカイックスマイルが持つ普遍的な魅力を反映しているかもしれない。
