日本の封建制度は、中世から近世にかけての日本における政治・社会体制で、特に武士階級が支配層となり、地方を支配する大名やその下の武士たちが、中央政権から一定の自治権を持って地方を統治する制度である。この制度は、平安時代末期から江戸時代末期まで続いた。
封建制度の始まりは、平安時代末期に遡る。この時期、中央政権の権威は衰え、地方の豪族や武士団が力をつけ始める。彼らは自らの私兵を持ち、地方を支配するようになる。特に源頼朝によって確立された鎌倉幕府は、日本における封建制度の基礎を築いた。幕府は御家人と呼ばれる武士たちに対し、戦功に応じて土地（荘園や公領）を与え、その土地の支配権を認める。これが封建制度における「恩賞地制度」の始まりである。
室町時代には、足利将軍家による室町幕府が成立し、更に封建制度が発展する。この時代には守護大名と呼ばれる武士が各地に配置され、地方の統治を任される。しかし、室町幕府の権威は鎌倉幕府ほど強くなく、次第に地方の守護大名たちが独立性を強め、戦国時代へと突入する。
戦国時代は、各地の大名が天下統一を目指して争う時代である。この時代、大名たちは領国経営を行い、農民から税を取り立て、自らの私兵を養う。また、城下町を形成し、経済や文化を発展させるなど、地方の独立性は一層強まる。
江戸時代に入ると、徳川家康によって確立された江戸幕府が全国を統一し、約260年間にわたる平和な時代が始まる。この時代、封建制度はさらに体系化され、大名や旗本、御家人などの武士階級が厳格な身分制度の中で生活する。また、四民平等と称される身分制度が確立し、士農工商の序列が定められる。大名は領地を治める代わりに、一定期間ごとに江戸に参府する「参勤交代」を義務付けられ、これによって幕府は大名たちを統制する。
しかし、19世紀に入ると、封建制度は徐々にその機能を失い始める。外国の圧力による開国や、農村部の経済的困窮、幕末の動乱などが封建制度の基盤を揺るがす。そして、明治維新を経て、1871年の廃藩置県により、封建制度は名実ともに終焉を迎える。
日本の封建制度は、長い歴史の中で多くの変遷を遂げ、日本の政治、経済、文化、社会に大きな影響を与えた。
