昔撮影した運動会などのビデオを再生するためにヤフオクなどでVHS方式のビデオデッキが売れているという。
VHSは日本ビクターが開発した家庭用ビデオの規格。全世界の家庭用ビデオのデファクトスタンダードとなり、全世界で9億台以上が販売されたという。対してVHSと家庭用ビデオの覇権争いを演じたもう一つのビデオ方式ベータマックスの生産台数は1800万台程であり、VHSの勢力は圧倒的であった。
ベータマックスの方がVHSよりも高性能であり、画質や操作性もVHSより優れていたと言われていた。それなのにVHSが勝利したのは日本ビクターの親会社である松下電器産業の圧倒的な営業力によるものだという説明がされることが多い。しかし、やはり何と言っても圧倒的にVHSに有利だったのは最初から120分の録画が可能だったということだろう。販売当初、ベータマックスの最大録画時間は60分だった。ほとんどの映画が1時間では収まりきれないし、野球やアメリカンフットボールも1時間では録画しきれないことがほとんどである。VHSであればこれらのコンテンツの多くを1本のビデオテープに収めることができるし、アメリカンフットボールの場合も、ベータマックスより少ない本数のビデオテープに収めることができる。しかもビデオテープもVHSの方が安く製造できる見込みがあった。
これでは仮にどれだけ画質や操作性が優れていたとしてもベータマックスが勝利するのはなかなか難しかったと言わざるを得ない。
後にベータマックスはVHSの120分を上回る 200分もの録画が可能な方式を導入するが、それは以前の方式との互換性がなく混乱を招いた上に、時すでに遅しであった。しかもその方式ではベータマックスがVHSに対して持っていた技術的優位性の多くを失うこととなってしまっていた。
とうとう1988年にはベータマックスの盟主であるソニー自らがVHS方式のビデオデッキを発売することとなった。
このような経緯やソニーの独自技術を重視する傾向から、ソニーが家庭用ビデオの規格統一に消極的であり、そのせいで家庭用ビデオの規格が2つに分かれてしまい、多くの消費者が不利益を被ったと考える人も多い。しかし実際にはソニーは当初から家庭用ビデオの規格統一を呼びかけ、松下電器とビクターにもベータマックスの試作機を送るなど積極的な働きかけも行っていた。しかし、松下電器、ビクター両社からの反応はなく、後にビクターから VHSが発表される。さらに ソニー、松下電器、ビクターの三社での協議が行われたが、部品点数がより少なく、重量もベータマックスのものより軽く、製造コストが安くつくVHS を松下幸之助が採用。これにより家庭用ビデオの規格は統一されないこととなった。これは私がソニーを気の毒に思う点である。
さて、そんなVHS のビデオデッキを最近ハードオフで入手。
船井電機製のFV-H80R。2003年製造なので VHSのビデオデッキとしてはだいぶ後期の製品。
このままではビデオテープを痛めないか少々不安があるので、まず、ヘッドクリーニングを実施することにした。今どきVHSのヘッドクリーナーは入手困難だろうと思っていたが、なんとAmazonで販売されているのを発見。さすがAmazon。
日本製 VHS/SVHS ビデオデッキ用 ヘッドクリーナー 乾式(録画モード専用)
このビデオ ヘッドクリーナーはビデオテープと同じ形をしている。ビデオテープと同じ要領でヘッドクリーナーをセット後、録画モードを実行することでクリーニングが完了。
動きがあるシーンなので画像がぶれて見えるが、字幕の部分を見ればわかるように、意外ときちんと再生されている。
これで古いビデオテープを再び再生できるようになった。
日本製 VHS/SVHS ビデオデッキ用 ヘッドクリーナー 乾式(録画モード専用)