著者は代々木ゼミナールの講師。予備校の講師による本は何冊も読んだことがある。そのほとんどがつまらなかった。基本的につまらない受験対策授業の最中では、講師がちょっとしたジョークを言うだけで、たとえ全くつまらないジョークだとしても、生徒にどっとウケるということが多いのだろう。受験勉強中という特殊な環境では講師の取るにたらない話でもけっこうウケる。それで自分の話が面白いと勘違いするのだろうか。基本的にこういう勘違い講師の授業のノリで書かれたような本は社会人になって読むとつまらない。内容も薄いことが多い。
ところが、代々木ゼミナールの講師宮路秀作氏によるこの本は面白い。授業中のつまらないジョークのノリでなく、読んでいて知的好奇心を刺激されるような話、例えば、
ボーキサイトは熱帯土壌での算出が多い鉱産資源です。
(中略)
大量の雨が地表に降り注いで浸透すると、土壌中の養分が溶かされ、土壌には鉄分やアルミ分が残留します。
(中略)
こうして土壌中に集積したアルミ分がボーキサイトを形成するため、ボーキサイトは熱帯土壌(ラトソルと呼ばれます)に多く埋蔵されています。
こんな話がたくさん紹介されている。なかなか興味をひかれる。
おすすめ度★★★☆☆
2020年4月読了