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読書水先案内 増田寛也『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』

本書によると、2010年に1億2806万人であった日本の人口は2050年には9708万人となり、2100年には約5000万人へと減少するという。これはなんと明治40年頃の人口とほぼ等しい。明治40年は1907年である。つまり113年前。当時とは比較にならないほど科学技術が進歩し、医学も大きく発展、国民もはるかに豊かになった。それなのに80年後の日本の人口は113年前とほぼ同じになる。

 

地方消滅 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)

 

著者の増田寛也氏によると、人々の人口問題に関する認識には様々な誤解があるという。例えば以下のとおりだ。(太字はブログ管理人による)

 

人口減少は地方の問題であり、東京は大丈夫ではないか?

東京が人口を維持できているのは、地方から人口流入があるからである。東京の出生率は極めて低く、人口再生産力に乏しい。地方の人口が消滅すれば、東京への人口流入がなくなり、いずれ東京も衰退する。

 

 

日本全体の人口が少なくなるのだから、東京に人口を集中し、生産性を向上させたほうがよいのではないか?

 

前項で述べたように、地方から無尽蔵に人口を供給できるのであればよいが、決してそうではない。東京への人口集中は、短期的には生産性を向上させても、長期的には衰退を招く。東京を持続可能な都市とするためにも、人口の東京一極集中を改善する必要がある。また、東京は今後、超高齢化する。

 

 

 

また、ベッドタウンとして発展している都市について以下の様な問題点を指摘している。

 

大都市や地方中核都市の近郊に位置することを活かして、住環境整備を重点的に進め、定住人口を増加させているのがベッドタウン型である。

(中略)

地方中核都市の周辺都市というケースでは、今後も人口を維持していくために、圏域一体での取り組みが重要になる。地方中核都市が凋落した場合、ベッドタウンも当然ながら影響を受けるためだ。また、どうしても同一年齢層の転入者が多数を占めるため、高齢化が一気に進むことへのリスクも懸念される。

 

 

 


全国チェーンの大型店についての指摘は以下のとおり

(前略)

ロードサイドに全国チェーンの大型店ができて、雇用が生まれます。それはそれで便利ですから、客もそっちへ流れて中心市街地が徐々に寂れていく。そして地域固有の商店の特質が失われたあげく、全国チェーンは経済合理的でドライですから、利益が上がらないと見極めると、さっさと引き揚げてしまい、後には何も残らない。地方ではこれが繰り返されています。

 

全国チェーンの大型店についての指摘は私も以前から感じていたことだ。このようなスーパーが大規模なショッピングモールなどを建設し、地域のスーパーがほとんど消滅。利益が上がらなくなると、大規模なショッピングモールも撤退。その地域から小売店がほとんどなくなってしまい、地域住民の生活に支障をきたす。このような事例は全国的にも多発している。

 

 

『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』で著者は他にも多くの問題や誤解を指摘している。人口減少問題について知見を得たい方にはぜひお読みいただきたい。

 

 

地方消滅 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)

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  • 作者:増田寛也
  • 発売日: 2015/08/14
  • メディア: Kindle版
 

 

おすすめ度★★★★☆

2020年1月頃読了

 

 

 

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