私立文系大学卒会社員が米国株で徐々に収入を得ながらプライベートキャンプ場を作る

私立文系大学卒会社員が米国株で徐々に収入を得ながらプライベートキャンプ場を作っていくブログです。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を10倍楽しむための読書2『こんなに楽しい平家物語』(イースト・プレス)

平家物語の人物の紹介とあらすじをまとめた本。この手の本はあまりに表面的な内容だけを取り上げた深みのないものが多いけれど本書は違う。

こんなに楽しい平家物語

こんなに楽しい平家物語

 

初心者向けに分かりやすく解説しながらも、それぞれの登場人物について詳しく説明されている。
 例えば、平家物語では平清盛の嫡男、平重盛は温厚で人徳があり、情に厚く尊皇心が強い人物として描かれている。重盛は父清盛の横暴を抑える行動を何度もとっている。そのため後白河法皇と清盛との間に板挟みになることが多かった。「忠ならんと欲すれば則ち孝ならず。重盛の進退、ここに窮まれり」という有名な言葉があるように。

 重盛は驕り高ぶる平家の暴走を食い止める役割を果たしていた。こんな重盛の死は平家の滅亡を加速させたという。
 あるとき、重盛の子、平資盛と藤原基房の行列の間でトラブルがあった。このとき資盛の祖父に当たる清盛が藤原基房への報復を行った。一方、重盛は息子の資盛を叱責した上に謹慎を命じて評価を上げたことになっている。ところが史実によると、報復を命じたのは清盛でなく重盛であったようである。そうすると平家物語には史実とは異なる記述がされていることになる。平家物語はほぼ一貫して重盛の人格を称えているのに藤原基房への報復を命じたのが重盛であっては都合が悪かったのだろう。
 このように、本書は平家物語の記述と史実の相違点について触れているところが多く興味深い。一読の価値がある。

2022年2月27日現在、本書はAmazon Kindle Unlimitedの読み放題に含まれています。

 

www.chatesen.info