トランス脂肪酸が話題になるとき、トランス脂肪酸は「食べるプラスチック」などと非常に情緒的な表現をされることがある。仮にトランス脂肪酸が食べるプラスチックだとしても、「食べないプラスチック」を食べるよりは全然マシだと思う。
EU でもアメリカ合衆国でもトランス脂肪酸の摂取量が規制されているのに日本で規制されていない。それに「政府の健康に対する意識が低い」とか、「欧米に対して遅れている」などの批判をしている人たちもいる。
実際には別に日本が遅れているわけでも何でもなく、欧米諸国の人々と比較して日本人のトランス脂肪酸の摂取量が極めて少ないから規制などをする必要がないのである。各資料によると、日本人のトランス脂肪酸の摂取量はアメリカ人と比較しておよそ1/5 程度から1/9 程度とかなり少なく、当然のことながら健康に対する影響もだいぶ少ない。もちろん 欧州人と比較しても似たような状況である。
そして全油脂摂取量に対するトランス脂肪酸の割合も日本人の場合は約0.5%程度となっており、多くの国での規制値よりも相当低い。マーガリンに含まれているトランス脂肪酸の量もマーガリン中の1パーセント程度であり、こちらも多くの国における規制値よりも低くなっている。
こういった状況では日本国内では特別にトランス脂肪酸を規制する必要がないのは当然である。
ただし、いずれにしても油脂の過剰摂取は非常に健康に悪い。もちろん体重が増えるし、心筋梗塞や高血圧の原因にもなる。油脂の過剰摂取には気をつけようと思う。