数年前にベストセラーになった『21世紀の資本』を読んだ。
著者のトマ・ピケティによると、長期的には資本収益率rは経済成長率gよりも大きい。
資本による収益率が経済成長率より大きいということはそれだけ富が資本家に移動し、蓄積されるということである。
本書の中で興味深いと感じた部分はアメリカンドリームについての指摘である。貧しくても努力をすれば豊かになれるというアメリカンドリームは、アメリカではすでに実現困難になっているとする。
両親の所得が子の所得に影響する度合いは、他の先進国よりもアメリカにおいて大きいものとなっているという。
このような不均衡を是正するためには累進的な財産税を導入することが必要だとするが、これも困難である。タックスヘイブンに資本が移動し、結局課税を逃れてしまう。
r>gならばなるべく資本から収益を得られるように努力すべきである。
なお、トマ・ピケティ氏は日本の状況について、政府が歳出を削減すべきではないとしている。
政府が歳出を削減すれば、貧しい者はより貧しくなり、まともな教育も受けづらくなるだろう。貧しい者の味方のような顔をしている野党の政治家にも、財政再建を優先するように求める者がいるのが不思議でならない。
ここでは参考ととして日米の所得税最高税率の推移を挙げる。
日米所得税最高税率の推移(2019年現在)
|
日本 | 米国 |
1981 | 70 | |
1983 | 75 | |
1984 | 70 | 50 |
1987 | 60 | 38.5 |
1988 | 28 | |
1989 | 50 | |
1991 | 31 | |
1993 | 39.6 | |
1999 | 37 | |
2001 | 38.6 | |
2003 | 35 | |
2007 | 45 | |
2013 | 39.6 | |
2015 | 45 | |
2018 | 37 |
※財務省のウェブサイトより作成、入力ミス等があっても責任は負いません。
ご自身でご確認ください。
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