カール大帝の死後、彼の広大な領土は子孫たちによって継承された。ゲルマン人の社会では分割相続が行われる。そのため、フランク王国は分裂する運命にあった。フランク王国は843年のヴェルダン条約によって、西フランク王国、中部フランク王国、東フランク王国の三つに分割された。この分割は、カール大帝の孫たちの間での領土を巡る争いの結果であり、フランク王国の将来に大きな影響を与えることになる。
ヴェルダン条約は、カール大帝の孫であるシャルル2世（禿頭王）、ロタール1世、ルートヴィヒ2世（ドイツ人）の間で結ばれた。この条約により、西フランク王国はシャルル2世が、中部フランク王国はロタール1世が、東フランク王国はルートヴィヒ2世がそれぞれ統治することになった。
その後、870年のメルセン条約によって、ロタール1世の死後に残された中部フランク王国の領土が、西フランク王国と東フランク王国に再分割された。この条約は、ロタール1世の子孫間での領土争いを解決するために結ばれ、中部フランク王国の一部が西フランク王国と東フランク王国に分割されることになった。この再分割により、フランク王国の領土はさらに細分化された。
これらの分割によって形成された西フランク王国、中部フランク王国、東フランク王国は、それぞれ後のフランス、イタリア、ドイツの基礎を形成することになる。特に東フランク王国は、後に神聖ローマ帝国として知られるようになった。
東フランク王国からは、後にオットー1世が登場する。オットー1世は、936年に王位に就き、その統治下で東フランク王国は強力な中央集権国家へと変貌を遂げた。オットー1世は、951年にイタリアを征服し、さらに962年にはローマ教皇ヨハネス12世によってローマ皇帝として戴冠された。これにより、オットー1世は神聖ローマ帝国の最初の皇帝となり、東フランク王国は神聖ローマ帝国としての新たな歴史を歩み始めた。（ただしこの時点で 神聖ローマ帝国という国号が使われたわけではない）
神聖ローマ帝国は、中世ヨーロッパにおける政治的、宗教的な中心地として機能し、多くの皇帝がこの地を統治した。この帝国は、ローマ帝国の伝統を継承することを目指し、キリスト教世界の統一という理念のもとに成立した。しかし、帝国内部の分裂や、教皇権との対立など、多くの困難に直面することになる。
ヴェルダン条約とメルセン条約によるフランク王国の領土の分割後、この地域が単一の国家に統一されたことはなく、フランス、イタリア、ドイツという現代のヨーロッパの国境線の基礎となった。
