アッサラームを立ち、湾を東に見ながら南に向かう。湾の向こう岸には山々が連なっている。不気味だ。おそらく多くの魔物が生息しているのだろう。
そのまま進むと半島の先端のようなところに出た。行き止まりだった。南には岩山、東には山、西は大きな川の河口が見えるという複雑な場所。今は進みようもないので今度は西側の海沿いに半島を引き返す。
しばらく歩くとすごろく場があった。こんなところにすごろく場があるなんて。中に入ってみるとかなり規模が大きなすごろく場であることがわかった。ロマリア近くのすごろく場とは比べ物にならないほどの大きな施設である。すごろくの中に宿屋があるくらいと言ったらその大きさを想像していただけるだろう。この規模になると私が挑戦するのはちょっと難しそうだ。すごろく券は持っていたけれどすごろくはせずに建物を出た。
すごろく場から西に進む。するとだいぶ大きな砂漠が見えてきた。砂漠ではときおり強い風が吹き砂を巻き上げ、あたりが見えなくなる。だからなるべく砂漠には入らないように、砂漠の縁を南に向かって歩き続けた。ずっと南に、毒の沼地が見える。そしてその沼地の中にほこらがあるようだ。とりあえず、そのほこらに向かって歩いてみた。
途中、魔物が襲ってくる。砂漠には魔物は少ないと思っていたのだが、それは勝手な思い込みだったようだ。しかも過酷な砂漠で生き延びているからだろう。どの魔物も手強い。特に最悪なのはじごくのハサミだ。こいつは巨大なカニの姿をした魔物。甲羅で覆われているのでただでさえこちらの攻撃が通りにくい。そのうえ、守備力を上げる呪文スクルトを唱えまくる。スクルトを唱えるとやつの甲羅はめちゃくちゃ硬くなる。そうなると打撃はまったく効かない。ギラなどの呪文を使わなければならないが、それも効かないときがある。巨大なハサミで切り裂いてこようとするので怪我もしやすくて危険だ。できればこいつにだけは会いたくないものだ。
沼地に着いた。沼地の先は岩山がそびえ立っている。そして沼地の中にはほこらがあった。こんなところに何かあるのだろうか。沼地の毒で多少のダメージは覚悟しなければならない。勇気をふりしぼって沼地に入った。沼の中では泥がまとわりついて気持ち悪い。そんな思いをしてようやくほこらに入ることができた。ほこらの中は意外と広い。老人が一人で椅子にかけていた。話しかけると、まほうのカギを探しているのかとたずねてきた。思わず「はい」と返事すると、「カギは砂漠の北、ピラミッドに眠ると聞く」と教えてくれた。
その前にイシスのお城を訪ねるべきだという。これまでの旅でとうぞくのカギでも開けられない扉がいくつもあった。まほうのカギがあればきっとそういう扉を開けられるだろう。私は老人に言われたとおりにイシスに向かうことにした。
勇者が先端まで進んだ半島は現実のシナイ半島でほぼまちがいない。この地域はエジプトとアラブをつなぐ要所にあたり、昔から戦略上の重要拠点だった。ドラゴンクエストIIIにおいてはエジプトがなぜかアフリカ大陸の東にある。実際にはエジプトはアフリカ大陸の西の端、アフリカ大陸とシナイ半島の付け根あたりにあるので、シナイ半島の重要さがわかるだろう。
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