バハラタを急いで出発して東の洞窟に向かった。町の人の話によるとこの洞窟に人さらいたちが住んでいるということだった。
話に聞いたとおり、バハラタのすぐ東には橋がかかっていた。橋をわたると強い魔物が出てくる可能性が上がるけれど、今はそんなことは言ってられない。急いで橋をわたる。あたりを見回すと北の先の方に洞窟が見えた。意外とすぐに洞窟に着いたのでそのまま中にはいった。
洞窟の中は予想外にかなり広く、歩くのに骨が折れる。人さらいたちが整備したのだろうか。さすがにそれはないか。おそらく昔の遺跡か何かだろう。
宝箱があちこちにしまわれている。中にはひとくいばこも潜んでいるが、一応一つ一つ中を確認する。急いでいるのに宝箱を開けるのは道に迷わないための目印にするためだ。
途中で兵士に会った。この兵士は何年もこの洞窟で迷っているという。いくら広いとはいえこんな場所で何年も迷うとは驚きだ。
地下2階には宝物庫があった。すばやさのたねなどの貴重なアイテムが保管されていた。もちろんすべていただくことにした。
地下2階南側の部屋に入ると男たちがいた。こちらを見つけると「ひょっとしてオレたちの仲間になりたいのか」と話しかけてきたのでとりあえず「はい」と答えた。すると、おかしらは留守だからでなしてこいと言う。一度引き返してもう一度この部屋に入る。今度は「いいえ」と答えた。戦闘になったので相手をすべて倒した。
さらに進むと牢屋に閉じ込められている男女がいる。格子戸に近づくと、二人はグプタとタニアだった。
やはりふたりとも捕まってしまったのだ。まずは二人をここから出す必要がある。壁のレバーを操作した。格子戸が開いた。ふたりとも格子戸がまだ完全には開かないうちに飛び出してきた。二人の再会。ふたりともすごく喜んでいる。良かった。しかし、まだ人さらいがいるかも知れないので気は抜けない。
ところが、二人はお礼を言うとそのまま出口に向かった。少し不用心すぎないか。慌てて後を追うと、案の定人さらいたちが通路をふさいでいる。これはまずい。
近づいてみると、二人の間に立ちふさがっていたのはなんとカンダタ。シャンパーニの塔で許してやったのにまだこんな悪さをしていたとは。もう一度懲らしめなければならない。
タニアからは助けてほしいと頼まれた。グプタはタニアだけでも助けてほしいという。
カンダタに話しかける。すると急に襲ってきた。
シャンパーニの塔で会ったときよりはかなり強くなっている。子分はすぐに倒したがカンダタはなかなか倒れない。しかし、こちらもあの頃よりはかなり経験を積んでいる。負けるわけには行かない。何度も攻撃するとやっと大人しくなった。
そして心を入れ替えるから許してくれという。もちろん「いいえ」と答えた。ところが何度断ってもしつこく頼んでくるので結局のところ許してやった。カンダタたちは一目散に逃げていった。グプタとタニアはお礼を言うと帰っていった。今度こそは無事に町にたどり着いてほしい。
またもやカンダタ登場。懲りない盗賊だ。カンダタのモデルはもちろん芥川龍之介の児童文学『蜘蛛の糸』の主人公カンダタ(犍陀多)で間違いないだろう。実はこの『蜘蛛の糸』の話は以下の引用に示すように、芥川龍之介の創作ではなく、ドイツ生まれのアメリカ作家ポール・ケーラスが1894年に書いた『Karma :A Story of Buddhist Ethics』に収録された仏教説話の一つで、ポール・ケーラスが創作したものだそうだ。
ポール・ケーラスの『カルマ』
ドイツ生まれのアメリカ作家で宗教研究者のポール・ケーラス(en:Paul Carus)(1852-1919)が1894年に書いた『Karma :A Story of Buddhist Ethics』(以下、『カルマ』と略)の原書[4](この原書は後述のカルマⅢである。)には以下の8編の仏教説話が収録されているが、『蜘蛛の糸』の材源となった「The Spider-Web」はケーラスの創作である[5]。『カルマ』には次の8編が載っている。日本語題は、鈴木大拙による『因果の小車』における訳である。
Devala's Rice-Cart :提婆邏(デーワラ)の米車
The Jeweller's Purse
Business in Benares :婆羅奈市(バーラーナシー)の取引
Among the Robbers :山賊仲間
The Spider-Web :蜘蛛の糸
The Conversion of the Robber Chief
The Converted Robber's Tomb
The Bequest of a Good Karma :善根の應報『蜘蛛の糸』の材源となった「The Spider-Web」はケーラスの創作である。
「蜘蛛の糸」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。2005年8月22日15時(日本時間)現在での最新版を取得。
この説話集に「Business in Benares :婆羅奈市(バーラーナシー)の取引」も含まれており、ドラゴンクエストIIIのバハラタのモデルであるバラナシも、カンダタも微妙に関係しているところが興味深い。
洋書バラナシ写真集 本 インド ワーラーナシー ヴァーラーナシー 風景
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